History
2026/1/14
令和7年10月18日(土)、仙台市青葉区中央市民センター第一会議室にて<杜の都ブランディング×若者交流会>が開催された。仙台市建設局百年の杜推進課が主催し、株式会社BLUE SODAが運営を担った本イベントは、18歳から29歳までの若者を対象に行われた。イベントテーマは『若者視点で切り拓け。杜の都の“みどり”の新たなブランド価値』。仙台市が掲げる『杜の都』というブランドを未来へと輝かせるため、自由な発想と交流を通じて、都市の新しいブランド価値を見出す試みであった。さらに、本イベントの魅力は若者同士の交流でもある。ワークショップでは毎回のグループ替えによって新しい仲間と出会い、休憩時間には趣味や日常生活について語り合う姿もイベント内では見られた。都市のブランド価値を考える場でありながら、参加者にとっては人とのつながりを広げる機会でもあったのだ。こうした交流は、仙台市が目指す『杜の都』の未来像に市民が主体的に関わるための基盤となるだろう。本記事では、若者が『杜の都』というブランド価値について本気で考えたイベントの様子をお届けする。

イベント冒頭では株式会社BLUE SODA代表取締役の相澤氏が挨拶を行い、ブランディングや『杜の都』というブランド価値についての説明を行った。続いて仙台市職員から仙台市における"みどり”についての説明があり、仙台市が定義する"みどり”とは単なる自然環境ではなく、都市の持続可能性や市民の暮らしの質を支える基盤であることが示された。『杜の都』や"みどり”については、仙台市ホームページを参考にしたうえで以下に読者の皆様へお届けする。
仙台市は古くから『杜の都』と呼ばれ、街路樹や公園、山並みや河川など豊かな自然環境が都市の景観と調和し、市民の暮らしを支えてきた。この“みどり”は地域固有の景観や風土形成のほか、災害に備える防災機能、都市の気候を緩和する環境機能、子どもから高齢者までが憩い学ぶ教育・福祉機能、そして歴史文化を象徴する誇りの源泉等として、多面的な価値を持っている。仙台市はその伝統を未来へ継承するため、令和3年に『みどりの基本計画2021-2030』を策定した。この計画は『百年の杜づくりで実現する新たな杜の都』を理念とし、『みどりを育む人、みどりが育むまち』をテーマに、市民と行政、事業者が協働して緑を守り育てる姿を描いている。さらに『挑戦を続ける、新たな杜の都へ~The Greenest City SENDAI~』を掲げ、世界から選ばれる持続可能な都市を目指している。計画では五つの基本方針を示し、自然環境の保全や防災・減災を重視する『みどりと共生するまち』、都心部の緑化やみどりがある空間の利活用を推進する『みどりで選ばれるまち』、歴史文化や街路樹を活かした『みどりを誇りとするまち』、教育や健康増進等に資する『みどりとともに人が育つまち』、そして維持管理や普及啓発を強化する『みどりを大切にするまち』を柱としている。これらの方針は、少子高齢化や気候変動など社会の変化に対応し、持続可能な開発目標(SDGs)とも連携しながら進められている。仙台市の“みどり”は、市民の生活や文化を支える基盤であり、未来に向けて質と量の両面で充実させるべき都市資産である。
参考資料:仙台市ホームページhttps://www.city.sendai.jp/hyakunenchose/kurashi/shizen/midori/midori/kekaku/kekaku2021-2030.html
交流会の中心は三つのワークショップである。参加者はテーマごとにグループを入れ替え、模造紙に意見をまとめ、発表を行った。机を囲んで笑い合いながらアイデアを出す姿や、休憩中に自然と会話が弾む場面もあり、会場は終始和やかな雰囲気に包まれていた。
最初のテーマでは『仙台市にある"みどり”と言われて思いつくこと』について意見を出し合った。参加者は青葉山や西公園、広瀬川などの自然環境を挙げる一方で、『仙台七夕の飾り』『ずんだ餅』など地元の食文化に結びつける意見も出された。若者の中での"みどり”は単なる植物や公園にとどまらず、仙台の文化や生活に深く結びついていることが浮き彫りになった。ユニークなアイデアとして『仙台地下鉄 南北線』や『楽天の緑のユニフォーム』なども登場し、若者ならではの自由な発想が会場を盛り上げた。声を掛け合いながら、模造紙に書き込む姿が印象的であった。
【その他意見pickup】
青葉山/榴岡公園/森林公園/台原森林公園/七北田公園/西公園/勾当台公園/定禅寺通り/青葉通り/広瀬川周辺/広瀬川沿いの木々/梅田川/八木山/泉ヶ岳/大年寺/秋保/茂庭/作並/青葉城/ずんだシェイク/ずんだもち/ずんだもん/せり/七夕まつり/青葉まつり/仙台銀行/仙台地下鉄南北線/市のマーク/みどりの窓口/楽天の緑のユニフォーム/サイゼリア/HANDS/研一/緑彩館/suica/ザ・モール/パルコ下のピカチュウ/草/街路樹/農業/キャベツ/非常口
次のテーマでは『仙台市で過ごしていて緑を感じる機会・場所・地域・空間・瞬間』をポジティブとネガティブに分けて意見をだしてもらった。ポジティブな意見としては『西公園でのピクニック』『広瀬川沿いの散歩』『青葉通のケヤキ並木』などが挙げられた。一方でネガティブな意見として『雑草が放置されている空き地』『管理不足の公園』『緑が少ない商業エリア』などが出された。参加者の趣味嗜好や価値観が反映された意見は多様であり、都市における"みどり”の存在が人々の感情に直結していることも示された。
【その他意見pickup】
〇ポジティブ
秋保大滝でマイナスイオンを浴びる/青葉山の木々のトンネル/茂庭にむかう道路沿いの山々/仙台駅城跡から望む仙台市街地/木々に止まる鳥のさえずりを聴くとき/泉ヶ丘でスキーをするとき/泉ヶ丘にハイキングに行くとき/作並温泉に行ったとき/西公園を散歩しているとき/七北田公園の芝で犬の散歩/七北田公園散歩(ぼーっとベンチに座って眺める)/がもうパークで走る/泉区のドッグランで犬が走り回る/定禅寺通りを歩く・通る/教室の外を眺めているとき/学校帰りに歩いているとき(川沿い)/仙台から歩いて帰るとき/ドライブしていると必ず緑がある/山登りしたとき/仲の瀬橋からの景色/大学のキャンパスの樹木/草木のいい匂い/キンモクセイの香り/卸町のお茶屋さんの匂い/田んぼの匂い/目に優しい/田園風景/急須でお茶を飲むとき/上杉イオンの4階/楽しく遊べる場所/スターバックス
〇ネガティブ
虫が多い/銀杏のにおい/秋になると落ち葉掃除が大変/整備・手入れが大変/西公園の雑草/草むらにゴミが捨てられていた時/国分町駅近くの公園でごみのポイ捨てが多い/荒浜が草あり過ぎて入りにくい/牛越橋の下のBBQスポットが草たくさん/花粉/県内で熊の目撃例や被害が発生していること/仙石線・倒木・倒竹の影響で遅延/屋上・緑地がない
最後のテーマでは『もっとここに緑があったらいいと思う機会・場所』を考え、発表後に仙台市百年の杜推進課からの質問に答える形式が取られた。参加者は『駅前の広場』『商店街の空きスペース』『学校の校庭』 『屋上緑化』などを提案した。中には『地下鉄駅構内に緑を取り入れたい』といった斬新なアイデアもあった。質疑応答では、市職員からの意見をさらに深める質問に対して参加者が積極的に答える場面が見られた。これにより、単なるアイデアの共有にとどまらず、実現可能性を探る双方向的な議論が展開される貴重な時間となった。
【その他意見pickup】
仙台駅構内・改札出てすぐ/アーケードの中心に休憩スポット的な緑があったら嬉しい/ショッピングセンターの中に芝(上杉イオンイメージ)/ラウンドワン・スポッチャ/グルメアリーナ/国分町の中に綺麗な緑が欲しい/長町商店街の木がないところ/小学校・中学校/校舎の中/学院大五橋キャンパス//県庁の中/オシャレなビルの中/緑の中でミーティングしたい/歩道橋/自動車の道路/屋上緑地/ビルの屋上に/公園の日陰になるような場所/緑のカーテン・公園の日差し除け/枕元/高齢者施設/緑だらけの屋内カフェ/緑の建物といえばここ!という場所/緑のベンチ/家の周り(八幡)にもっと緑が欲しい/ずんだ以外の緑の食べ物/家庭菜

イベントの最後には仙台市職員から『"みどり”の広がりへの期待』について語られた。また、西公園は杜の都の象徴であり、今回の議論は西公園や現在進行中の活動へとつながるものである。そして今回の交流会は、若者が仙台の未来を考えるきっかけとなり、杜の都のブランドを次世代へと継承する重要な一歩であった。
<杜の都ブランディング×若者交流会>は、若者の視点を取り入れることで仙台市の未来を描き出す新しい取り組みとなった。参加者は"みどり”について自由に語り合い、交流を通じた新しい仲間との出会いや、市職員との双方向のやりとりにより、都市のブランド価値について学ぶ場となった。本イベントは、仙台市が目指す『杜の都』の未来像を市民とともに築くための重要なステップであり、今後の活動への期待を高めるものである。西公園をはじめとする仙台の"みどり”は、都市のブランド価値を体現する存在であり、若者の視点が未来を切り拓き、杜の都の"みどり”をさらに輝かせる力となるだろう。

Text:Reika Muraoka
Photo:Yuki Suzuki
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